イタリア視察その3

児童養護施設、イスティトゥート・デッリ・インノチェンティは、1419年に建設計画され44年に完成、45年に孤児院として開設されました。そして、20年後には200人、40年後には1000人を収容する施設となりました。

 

建物は世界遺産に認定されており、そして、今もここは児童養護施設として活用され、保育所も併設しています。

 

施設内を案内していただきながら、養護施設として利用されているところを見学しました。今ここには8人の子どもが入所しており、職員7人とボランティアの人が8時間交代で勤務しているとのことです。ボランティアは100人余りが登録されていて、ここ以外にも他の施設や子育て家庭にも支援に出かけているそうです。

 

施設にいる子どもには一人に対し一人のボランティアがつき、信頼関係を作るようにしています。ここにいるのは0〜6歳の子どもで、2年間までに親元に帰るか、里親のもとに行くか、養子縁組するかを決めます。親元に返されるのは約50%ぐらいだそうです。

 

親が面接に来た時には観察室がついている面接用のハウスで面接します。その様子を職員が観察して、裁判所への資料を作成します。したがって、子どもの将来を決める裁判所の判断根拠となる資料を作る重大な仕事もここの職員が担っています。

 

ここには保育所もあり、子どもの個性に合わせた幼児教育が行われています。

 

そして、圧巻は文書庫でした。孤児院が開設された時からの収容された子どもの記録が残されています。15世紀の実際の記録を見せていただいて説明を受けました。収容時に子どもがどんな様子でどんな状況で預けられたのか、また親子関係を示すものとして半分に割られたコインであったり、絵を半分に破ったものであったり、そうしたものも一緒に保管され、さらには、その後どこに引き取られていったかなども詳しく記録されています。

 

世界遺産のすごさを見せていただきました。そしてその施設がいまもなお、児童養護施設として活用されていることに、歴史的建造物を大切に使っているフィレンツェの人たちの歴史意識の高さを感じました。

| 角ともこ | - | - | - |