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イタリア視察その2

調査の2番目となるトリエステ精神保健局に伺いました。イタリアでは精神病院をなくす取り組みが進められており、その先駆的な取り組みが始まったのが、人口24万人のイタリア北東部アドリア海に面し、スロベニアとの国境に位置するトリエステ市からでした。

 

トリエステにあった1,200床のサン・ジョバンニ精神病院にやってきた医師バザーリアは、それまで精神異常がみられる人を精神病院に収容し、拘束服を着せられて手が自由に動かないようにして、施設から一歩も外に出られないようにしていることをやめ、精神病院の廃止を訴え実践していきました。

 

その後、イタリアではこの精神病院廃止の運動が広がり、世界初の精神病院廃絶法が1978年に成立しました。

 

私たちは公立の精神病院がなくされてから作られた4つの精神保健センターの一つに伺い、医師と看護師の方からお話を伺いました。

 

保健センターでは24時間365日いつでも患者が来れるように開かれており、緊急入院用のベットが常に6〜8床準備されています。センターでは患者といわず、利用者というそうです。

 

ここでは毎日、医師と看護師が1時間ミーティングして利用者のケアを検討しています。どうしても暴れる場合には必要最低限の薬を使うこともあるそうです。

 

実際に施設内も案内していただきましたが、明るい雰囲気に整えられていて、いつでもだれでも気軽に来れるように作られています。

 

まだまだ、精神病院の廃止について理解が進んでいない人もあり、偏った考えの人たちの啓発にも取り組んでいます。また、精神障がい者の雇用については、奨励金が出され企業の協力を求めています。

 

かつてサン・ジョバンニ精神病院があったところへも行きましたが、今は公園となっており、博物館や大学などの施設が置かれています。

 

| 角ともこ | - | - | - |